日本のランに多い地生ラン

土で育つラン科の植物
地面に根を生やして成長する「地生ラン」は、3大自生地のアジア、アメリカ、アフリカの熱帯雨林地域でも全体の3割と少数派になります。
高温多湿のジャングルの様な地域では、ラン以外の植物が繁茂し、日光も根を生やす土の部分でも激しい争奪戦が行われています。
この地球上に他の植物よりも遅れて発現したラン科の植物は、日光や、栄養補給の方法を既存の樹木に根を付けて「着生ラン」としてのスタイルに求めることになったと想像できます。
「洋ラン」つまりは海外原種のランに「着生ラン」が多いのはそのためでしょう。
それに反して、日本に自生しているラン科の植物は「地生ラン」が多く、エビネやウチョウランの様に観賞価値の高いものもありますが、全体的につつましい可憐な花を咲かせる品種が多いようです。
地面から水分や栄養を安定して供給できるため、茎にため込んでおく必要がないため、スリムな茎や葉をしているのも特徴です。
地生ランの代表選手
朝鮮半島南部から日本にかけて広く分布する「地生ラン」にエビネがあります。
以前は多く全国に分布していましたが、現在は野生種の数が減り、純絶滅危惧種として保護されています。
地下茎が数珠の様に連なっているのがエビの様に見えるため「エビネ」と名付けられたといいます。
洋ランの「地生ラン」としてはパフィオペディラムがあります。
カトレアやシンピジウムと並び世界4大洋ランの一つです。
東南アジアを原産とするラン科の植物ですが、比較的寒さに強いので、日本でも多く栽培されています。
いずれも、木漏れ日程度の日光と風通しのいい場所を好みます。
乾燥に弱い性質のため、土の表面が乾いたらたっぷり水をあげてください。
ただし、他のランと同様、水の上げすぎは根腐れの原因となるので注意が必要です。